Dr.中原の健康こぼれ話

Dr.中原の健康こぼれ話

監修

西武学園医学技術専門学校 東京校 校長/医学博士

中原 英臣 先生

睡眠時無呼吸症候群

最近、よく耳にする睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まったり、呼吸が弱くなることで、日常生活にいろいろな障害を引き起こす病気です。医学的には無呼吸の状態が1時間に5回以上、7時間の睡眠中に20回以上あると睡眠時無呼吸症候群と診断されます。無呼吸になると夜中にしばしば目を覚ますために睡眠不足になります。そのため、昼間に強い眠気に襲われたり、仕事をしているときの集中力が低下します。睡眠時無呼吸症候群の原因というと肥満とアルコールがあげられます。肥満の人に睡眠時無呼吸症候群が多いのは、肥満になると舌根の部分に脂肪がついて気道が狭くなるためです。アルコールには筋弛緩作用があるため、睡眠前にお酒を飲むと、気道が狭くなって睡眠時無呼吸症候群を引き起こします。肥満やアルコールのほかにも扁桃腺の肥大や下あごが小さいことも睡眠時無呼吸症候群の原因になります。とくに扁桃腺の肥大は睡眠時無呼吸症候群との関係が深く、子どもの睡眠時無呼吸症候群の最大の原因は扁桃腺の肥大です。さらに加齢も睡眠時無呼吸症候群と関係しているので、40歳を超えると睡眠時無呼吸症候群が増えてきます。高齢の方は気道の周囲の筋力や組織の弾力性が低下し、気道が狭くなりやすくなるのです。睡眠時無呼吸症候群の診断には、寝ているときの脳波、呼吸運動、動脈血の酸素飽和度、体位、心電図などを記録解析する睡眠ポリソムノグラフィー検査(PSG検査)を受ける必要があります。この検査を受けるには1泊2日の入院が必要になります。睡眠時無呼吸症候群と診断されると、いろいろな治療の選択肢があります。代表的な治療は減量、扁桃の手術、鼻の手術、鼻からマスクで空気を流すシーパップ(CPAP)、睡眠時のマウスピースの装着などです。

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