料理の豆知識Vol. 83 今回のテーマ【タコ】
このコーナーでは、ちょっと知ってほしい食事に関する豆知識をお届けします。
今回は私たちに身近な魚介であるタコを取り上げました。
弥生時代から食用に 日本人に好まれる魚介
タコ焼きをはじめ、酢の物やおでんなど、タコは私たちにとってなじみのある食材です。弥生時代の遺跡からタコ漁に使われるタコつぼが見つかっており、日本では約2000年前からタコが食べられていたようです。平安時代の書物『延喜式』には、タコの干物やなれずしの記述があり、江戸時代の料理書にはタコの桜煎(醤油煮)や
日本近海のものは高値 種類によって味の違いが
タコの種類は200種類以上あるといわれ、日本近海でも50種以上が確認されています。日本でよく食べられているのがマダコ、ミズダコ、イイダコです。マダコは味がよく、人気がありますが、近年、漁獲量が減ってきており、日本近海のものは高級食材となっています。そのため、アフリカのモロッコやモーリタニアなどから多く輸入されています。関東以北でよく食べられているミズダコは、体長3〜5m、体重10〜50㎏ほどの大きなタコです。マダコの漁獲量が減ったことにより、市場が見かけることが多くなりました。ほどよいやわらかさと食感が持ち味です。イイダコは15〜20㎝ ほどの小ぶりのタコで、冬から春にかけてが旬です。この時期のメスは産卵直前で、飯粒状の卵を抱えていることからイイダコ(飯蛸)という名前が付いています。
高たんぱく低カロリーで ダイエットにも
タコには、アミノ酸の一種であるタウリンが多く含まれています。タウリンは肝臓の解毒作用を強化し、コレステロールの代謝と分解を促進するため、動脈硬化の予防に役立ちます。また、タウリンは脂肪の分解を促進するため、脂肪の燃焼効率が上がります。しかも、低カロリーで高たんぱくのタコは、ダイエットに向いている食材といえるでしょう。さらに、ナトリウムとともに体の水分量を調節するカリウム、細胞の新陳代謝を活発化する亜鉛などのミネラルも豊富です。現在、市場に出回っているタコのほとんどは茹でたものです。茹でダコは、吸盤がしっかりしているもの、足が太く締まっていて、皮が破れていないものを選びましょう。鮮度がよいものは足先まで巻き上がっています。また、タコの足先は海中でいろいろなものを触っているので、カットして取り除いたほうが安心です。茹でダコの保存方法は、食べやすいサイズに切り分けて少量の酒を振り、ラップに包んだあと、保存袋に入れて冷凍庫へ。2〜3週間保存できます。使うときは冷蔵庫内で自然解凍しますが、そのまま加熱調理も可能です。
大根おろしで洗うタコの調理方法
し。大根おろしでしごき、ていねいに洗います。大根おろしがないときは多めの塩でも代用できます。自分で茹でると手間と時間がかかりますが、格別の味わいです。タコは沸騰した湯に足からゆっくり浸し、足が丸まってから3~5分程度茹でれば出来上がり。生の風味を楽しみたいなら、80℃の湯に5 秒湯通ししたあと、たっぷりの水にとり、足の皮がはがれないようにやさしく洗い、水気を拭きます。生のタコを見かけたら、一度試してみませんか。