下澤達雄先生の臨床検査かわら版
『環境汚染が健康に影響する!?』

下澤達雄先生の臨床検査かわら版
『環境汚染が健康に影響する!?』

身の回りのすべてのものが体にかかわります
冬から春にかけて、PM2.5 の飛来情報がニュースで取り上げられます。この時期、
黄砂とともに届く汚染物質は比較的目に見えるので、みなさんもいろいろな対策をし
ていることと思います。今回は番外編として、そんな身の回りの環境が体にどんな影
響を与えるか考えてみました。

監修

国際医療福祉大学医学部 臨床検査医学 教授

下澤 達雄 先生(しもさわ・たつお)

2017 年より現職。専門は高血圧学、臨床検査医学、内分泌学、腎臓病学。日本高血圧学会理事、日本心血管内分泌代謝学会理事、日本臨床検査医学会理事、日本クラリネット協会副理事長などを務める。「秋の味覚や芸術の秋を楽しみながら、健康の基本、生活習慣を(食事以外にもリラクゼーションなども)見直したいと思っています」。

大気汚染や人工化合物による健康被害が世界的な問題に

 日本では、社会や経済の発展に伴い、足尾銅山鉱毒、水俣病、イタイタイ病のような水質汚染、四日市ぜんそくのような大気汚染など、さまざまな環境汚染が発生し、周囲の人々に深刻な健康被害を及ぼしてきました。これらを教訓として、私たちは人知を尽くし、対策を講じてきました。

 しかし、科学技術の発展は電力に頼っているため、化石燃料や原子力を用いざるを得ず、新たな環境汚染物質が出現し、イタチごっこの状態です。また、PM2.5 という粒子状物質やPFAS(炭素とフッ素から成り、非常に分解されにくい物質)という人工有機化合物による健康被害や大気汚染が世界的に問題になっています。

 たとえば、喫煙率の低下とともに、たばことの関連が深い肺小細胞肺がんや肺扁平上皮がんは減少していますが、たばことの関連がうすい肺腺がんや大細胞がんが増えています。その原因として、PM2.5 やPFAS の影響が考えられています※1。

 また最近、高速道路付近にある家にヘパフィルターというエアフィルターを搭載した空気洗浄機を設置したところ、高値血圧の人の血圧が低下し、この空気洗浄機を止めるとまた血圧が上昇したという研究結果が報告されています※2。

※1  (JAMA 2025,334;(20):1836-1845)
※2  >(J Am Coll Cardiol. 2025 Aug 26;86(8):577-589)

環境汚染と健康について考えみよう

 現在の私たちの生活にプラスチックは欠かせないものですが、翻ってみると、病院ではたくさんの使い捨て器具やプラスチック製品が使われています。また、電力も大量に消費されています。しかし、医療従事者として廃棄物には注意を払い、使い捨てでなく使いまわせる器具の使用も考えていくべきではないかと考えています。

 環境汚染による健康被害は一世代で終わるものではなく、遺伝子に小さな傷をつけて後世に病的な遺伝要因を伝えてしまう危険も危惧されています。

 読者のみなさまも、環境汚染と健康について、ちょっと考えてみませんか。

※日本高血圧学会公式キャラクター、良塩(よしお)くんの部屋
このチャンネルでは、血圧の大切な情報をわかりやすく発信しています。
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