料理の豆知識Vol. 86 今回のテーマ【キャベツ】
このコーナーでは、ちょっと知ってほしい食事に関する豆知識をお届けします。
今回はなじみのあるキャベツを取り上げました。
日本をはじめ、世界中で 親しまれているキャベツ
トンカツに添える千切りキャベツなど、日本の食卓に欠かせないキャベツは、世界中で愛されている野菜です。その歴史は古く、紀元前6世紀頃からケルト人によって栽培が行われ、古代ギリシアやローマでは胃腸によい薬草として知られていました。
原産国はヨーロッパの大西洋岸や地中海沿岸で、原種となる野草はケールやブロッコリーのルーツでもあります。原種はケールに似た形で結球していませんでした。
結球したキャベツについての最初の記述は古代ローマの『プリニウスの博物誌』(西暦77年)に薬として出てきます。その後品種改良が進み、13世紀にはイギリスで、現在のような結球性のキャベツについて記録されています。結球することで形を損なうことなく運搬ができるようになり、広く流通したと考えられています。
日本へは江戸時代に結球にならないタイプのキャベツが観賞用として伝わり、葉牡丹が作出されました。明治時代には結球性のキャベツが食用として栽培されるようになりましたが、主に外国人向けで日本人には普及しませんでした。戦後、日本に洋食が浸透するにつれ、多くの人々に親しまれるようになりました。
2026年3月現在
胃腸薬でもおなじみ ビタミンUが豊富
キャベツの栄養成分として注目したいのは、ビタミンUです。ビタミンUはキャベジンとも呼ばれ、胃腸の粘膜を強化し、傷ついた胃壁を修復する作用があります。キャベジンは胃腸薬の名前にもなっていますね。
ですから、油分が多く消化吸収に時間がかかるトンカツと、胃の粘膜を守る作用のあるキャベツとを一緒に食べるのはよい組み合わせといえます。
そのほか、キャベツにはカルシウム、食物繊維、ビタミンCも豊富です。ビタミンCは抗酸化作用が強く、体の酸化・老化予防に役立つほか、コラーゲンをつくり出して、筋肉や皮膚を丈夫にしてくれます。
ビタミンCはキャベツの外側の葉や芯に多いので、これらも捨てずに活用しましょう。また、ふつうのキャベツより、芽キャベツや紫キャベツのほうがビタミンCを多く含みます。
食べ方いろいろ 種類豊富な万能野菜
キャベツは種類が豊富で、40以上の品種があるといわれています。
収穫時期で分けると、4~6月に収穫される「春キャベツ」、長野県などの寒冷地で7~ 10 月に収穫される「夏秋キャベツ」、11~3月にかけて収穫される「冬キャベツ」(寒玉)があります。
春キャベツはやわらかい葉が特徴。サラダなど、生で手軽に食べられることもあって、最近では人気が高まり、生産量も増えています。春キャベツは、葉の巻き方がゆるくて軽いものがおすすめです。
最も一般的なキャベツである冬キャベツは、ロールキャベツなど煮込み料理に向いています。寒くなるほど甘みが強くなるのは、凍結を防ぐため、キャベツが自
ら糖度を増しているからです。冬キャベツは春キャベツとは逆に、葉がしっかり巻かれていて、ずっしりと重いものを選びましょう。半分や1/4にカットされたキャベツは、切り口が黄色で、みずみずしいものを選んでください。
紫キャベツは「レッドキャベツ」とも呼ばれ、赤紫色をしています。この色はポリフェノールの一種のアントシアンという色素によるもので、ビタミンAや鉄分が豊富です。
芽キャベツは、葉の付け根に出る脇芽が結球したものです。茎にたくさんできるので、「子持ちキャベツ」とも呼ばれます。
変わった形のキャベツとしては、「とんがりキャベツ」という、先の尖ったたけのこ型のものも。葉が非常にやわらかく、水分をたっぷり含み甘みも強いので、生で食べるのがおすすめです。切った断面がきれいなので、レストランなどでも人気です。




