栄養の新常識『たんぱく質を上手にとって健康を維持しましょう』
体にとって重要な働きをするたんぱく質は、高齢者の食生活にも欠かせない栄養素です。今回は、フレイルを予防し健康を維持するために、効率よくたんぱく質を摂取できるメニューを紹介します。
吉祥寺二葉栄養調理専門職学校 栄養士科 学科長 教授
伊沢 由紀子 先生 (いざわ・ゆきこ)
女子栄養大学大学院修了。社会保険新宿健診センター、東京医科大学病院栄養科、がん研究会有明病院栄養管理部を経て、2021 年5 月より現職。著書は『貧血の人の食事』『がん研有明病院の抗がん剤・放射線治療に向きあう食事』(女子栄養大学出版部)など。
健康な体を維持するため たんぱく質は欠かせない
食事で摂取したたんぱく質は、消化管を通る過程で、消化液の働きによりアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。そして筋肉や臓器、肌、髪、爪など、体のあらゆる組織の主成分となります。また、ホルモン、酵素、免疫物質などの材料になるほか、エネルギー源にもなります。
しかし、高齢になると食が細くなり、たんぱく質の摂取が少なくなりがちです。健康のため野菜中心の食生活を送っている人も多いと思いますが、たんぱく質が不足すると筋力や心身の活力が低下し、健康と要介護の間の虚弱な状態とされる「フレイル」に陥りやすくなります。
フレイル予防に たんぱく質を上手に摂取
フレイルとは、加齢や慢性疾患などによって心身の機能が衰えている状態のことです。
「身体的フレイル」「精神・心理的フレイル」「社会的フレイル」という3つの側面があり、これらを予防するには、十分な栄養摂取、ウオーキングや筋トレなどの身体活動(運動)、さらに就労や余暇活動、ボランティアなどの社会参加が必要とされます。
ここでは、フレイルを予防するため、十分にたんぱく質がとれる魚料理2品と、豆腐をアレンジした料理1品のレシピを紹介します(下図)。魚料理のたれにはニュートリーコンク※と
いう栄養食品を使用していますが、これは入れなくてもかまいません。魚や豆腐、肉を食べて、たんぱく質をしっかりとりましょう。一食あたりのたんぱく質の摂取の目安は約20gです。
これらの主食にお浸しやサラダなどの野菜料理、ごはん、汁物などを合わせれば、バランスのよい献立となります。
※ 1mL、2.5キロカロリーの栄養食品。不足しがちな栄養分がバランスよくとれます。