下澤達雄先生の臨床検査かわら版
生理検査について知っていますか?(1)

下澤達雄先生の臨床検査かわら版
生理検査について知っていますか?(1)

生理検査と呼ばれる検査を知っていますか。病院で受ける検査にはいろいろありますが、 生理検査は測定機器を使って直接患者さんの体の状態を診る検査です。 今号では、そんな生理検査について紹介します。

監修

国際医療福祉大学医学部 臨床検査医学 主任教授

下澤 達雄 先生(しもさわ・たつお)

2017 年より現職。
専門は高血圧学、臨床検査医学、内分泌学、腎臓病学。
日本高血圧学会理事、日本心血管内分泌代謝学会理事などを務める。
夏の暑さも残暑も1 日3 食と十分な睡眠で乗り切ります。
あまりの暑さで自転車通勤はちょっとお休み。

Q そもそも病院の検査っていくつあるのでしょうか?

 病院で行われる一般的な検査は項目数にすると1000 〜2000 になるでしょう。大きく分類すると、健診で行われる血液検査や尿検査のように、採取した検体や組織を分析するもの(検体検査、病理検査)と、X線検査のように直接患者さんに接し臓器の形や機能を診るもの(生理検査、画像検査、内視鏡)があります。後者の検査の場合、専門の医師や検査技師が行います。
X 線やCT, MRI などの画像検査は放射線科で行い、放射線科医が診断しています。内視鏡検査は病院によって異なりますが、主に消化器内科、外科が行う検査です。
生理検査はそれぞれの測定機器がないとできないので、多くの場合予約が必要になります。また、これらすべての検査が1つの医療機関でできるとは限りません。

Q 生理検査にはどんなのものがありますか?

 生理検査の代表的なものは、健康診断でも行われる心電図検査です。さらに脳波、筋電図、聴覚、嗅覚、味覚のような神経系の検査、超音波(エコー)検査(腹部、心臓、血管、関節、甲状腺、乳腺、子宮、膀胱など)、肺の機能を診るための呼吸機能検査24 時間血圧検査などがあります。

Q 心電図検査でわかることは何でしょうか?

 心電図は1903 年にオランダの生理学者アイントーベン博士が開発しました。ところが、心電図の波形の意味が理解されず、医療に生かされることがありませんでした。その年、日本から留学した田原淳すなお博士が、心電図の波形は心臓に生じている電気刺激の流れを示すもので、波形の乱れから心臓の異常を診断できることを発見、医学に応用されるようになりました。現在は心電図から脈の乱れのみならず、心筋梗塞、狭心症、心肥大、あるいは自律神経機能障害なども診断できるようになっています。心臓を3 次元で見るために、手足だけでなく胸にも6 つの電極をつけて 測定しています。
脈の乱れは常にあるわけではないので、1日を通して測定するために、携帯型の心電計をつけることもあります(ホルター心電図)。
また、狭心症は運動しているときに起こることが多いので、病院で運動しながら心臓に一定の負荷をかけ、心筋の変化を心電図に記録します。これを負荷心電図トレッドミル心電図など)といいます。この検査では胸が苦しくなったら、すぐに医師に伝えてください。

(つづく)

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