下澤達雄先生の臨床検査かわら版 「尿検査」

下澤達雄先生の臨床検査かわら版 「尿検査」

血液検査などのように体を傷つけることなく、簡単に採取して調べられるのが尿検査です。 手軽な検査であるにもかかわらず、成分を分析すれば多くのことがわかります。 検査のときに注意すべきことを知っておきましょう。

監修

国際医療福祉大学医学部 臨床検査医学 主任教授

下澤 達雄 先生(しもさわ・たつお)

2017 年より現職。専門は高血圧学、臨床検査医学、内分泌学、腎臓病学。日本高血圧学会理事、日本心血管内分泌代謝学会理事、日本クラリネット協会副理事長などを務める。最近、このページを読んでくれた知人から「このイラストより、ずっと若いよ」と言われ、ウキウキした気分になりましたとのこと。

 

Q 尿は色が濃かったり薄かったりしますが、検査に影響しますか?

A 一般的には脱水状態のときや朝の最初の尿は濃縮されているため、色が濃くなります。また、腎臓や膀胱で出血があると色が濃くなります。昼間でも、また十分に水を飲んでいても色が濃い尿が続く場合は、腎臓内科や泌尿器科に相談しましょう。
 濃縮された尿でも検査はできます。尿たんぱくや尿糖は濃縮されたぶん高い値になりますが、尿検査はたんぱくや糖だけではなく、クレアチニンも測ります。クレアチニンは1日に約1g排泄されるので、これを用いてたんぱくや糖の値を補正することで、濃縮された尿や薄い尿でも、毎回の検査で尿たんぱく、尿糖を比較できるのです。



Q 検査に提出した尿が少ないのですが、大丈夫でしょうか?

A 15cc 以上あることが望ましいのですが、5cc でもほとんどの検査が行えます。



Q 月経中の尿検査はどうですか?

A 月経中は血液が混じってしまうため、検査結果に異常値が出ることがあります。担当の医師に月経中であることを伝えましょう。



Q 薬やサプリメントが影響することはあるのでしょうか?

A ビタミンCをたくさん摂取していると、出血を見逃してしまうことがあります。ビタミンCには強い還元力があるため、試験紙の特性により、陽性なのに陰性になることがあるからです。ビタミンB類をとっているとビタミンのにおいがしますが、検査結果には影響しません。
 眼科で蛍光眼底造影をしたあとの尿には蛍光物質が入ります。またアイソトープを使った治療や検査をした際にも、わずかではありますが尿にアイソトープが出てきますので、薬を投与される前に尿検査してください。



Q 尿たんぱくが陽性になったり陰性になったり、検査のたびに結果が変わります。何が原因でしょうか?

A 尿たんぱくが陽性なのは腎臓が傷んでいる結果なので、治療がうまくいくと陰性になります。また糖尿病のコントロールの状態、血圧の変化でも変わります。このような病気の影響のほかに、運動をすると陽性になることがあります。検査室まで階段を駆け上がったり、検査の前に自転車に乗ったり、ジョギングをしていても陽性になることがあります。尿検査の前には運動は控えてください。

 

Q 血液検査と尿検査、どちらを先にやったほうがいいでしょうか?

A 一般的には血液検査のほうが分析に時間がかかり、尿検査はすぐに結果が出ますので、血液検査が終わってから尿検査をするほうが時間を節約できます。尿検査の結果には採血は影響しません。

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