「腸内環境」を整え、健康を保つ『栄養の新常識』

「腸内環境」を整え、健康を保つ『栄養の新常識』

 近年、「腸内環境」という言葉をよく耳にします。腸内環境とはどういうものか。そして、腸内環境を整えるためには、どのようなものを食事にとり入れたらよいのか、考えてみましょう。

監修

二葉栄養専門学校 栄養士科 学科長 教授

伊沢 由紀子 先生 (いざわ・ゆきこ)

女子栄養大学大学院修了。社会保険新宿健診センター、東京医科大学病院栄養科、がん研究会有明病院栄養管理部を経て、2021 年5 月より現職。著書は『貧血の人の食事』『がん研有明病院の抗がん剤・放射線治療に向きあう食事』(女子栄養大学出版部)など。

健康の基本は 食物摂取から

 私たちは、食べることによって体に必要なエネルギーと栄養素をとっています。つまり、口に入れた食物を、咀嚼(噛む)し、嚥下(飲み込む)し、消化管を使って消化・吸収しているのです。
 消化管は口から肛門まで全長約9mの器官です。口から飲み込んだ食物は、食道を通り、胃に入り、さらに小腸(十二指腸、空腸、回腸)を通って、大腸(結腸、直腸)へと消化・吸収されながら進みます。大腸では腸内細菌による食物繊維の発酵、および一部の栄養素と水分の吸収が行われ、吸収されずに残ったものは便となって排泄されます。腸内細菌は小腸にもすみついていますが、9割は大腸にすみついています。
 腸内環境とは、主に大腸の環境のことをいいます。

腸内細菌の理想的な バランスは2対1対7

 腸内環境は、腸内にすむ細菌の種類やバランスによって決まります。健康な人の腸には1000種類、100兆個以上の腸内細菌が生息しているといわれています。
 腸内細菌は、人にとって有用な働きをする善玉菌、人に害を及ぼす悪玉菌、善玉菌と悪玉菌のどちらにも属さず、優勢なほうに味方する日和見菌の3つに大きく分けられます。
 腸内細菌は菌種ごとの塊となって、腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。この状態が品種ごとに並んで咲くお花畑(flora)のようにみえることから腸内フローラと呼ばれています。
 腸内フローラのバランスは、善玉菌2・悪玉菌1・日和見菌7が理想です。善玉菌にはビフィズス菌、乳酸菌、酵母菌、麹菌などがあり、オリゴ糖や食物繊維をエサにして発酵を促し、乳酸や酢酸などをつくって、腸内を弱酸性に保ちます。

 悪玉菌にはブドウ球菌、ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)などがあり、毒性物質をつくって、腸内をアルカリ性にします。外から侵入する悪玉菌のほとんどはアルカリ性の環境を好みます。したがって、腸内の環境が酸性に維持されていれば、悪玉菌が腸内に入ってきたとしても死滅します。このようにして、善玉菌は免疫機能を高め、感染症から体を守っているのです。
 また、発がん性がある腐敗産物の産生を抑制するような環境に腸内を整えます。ビタミン(B1、B2、B6、B12、K、ニコチン酸、葉酸)の合成ともかかわっています。
 善玉菌が活性化すると、基礎代謝が促進され、逆に悪玉菌が優位になると基礎代謝量が低下するとの報告があります。
 日和見菌には大腸菌(無毒株)、連鎖球菌、バクテロイデスなどがあります。善玉菌、悪玉菌のうち、優勢なほうと同じ働きをするので、善玉菌を増やすことが重要です。
 では、善玉菌を増やし、腸内環境を整えるにはどのような食生活が好ましいのでしょうか。下のコラムを参考にしてください。
 日々の食生活を見直すことで、腸内環境を整え、健康維持に役立てましょう。

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