Dr.中原の健康こぼれ話61『地球沸騰化』

Dr.中原の健康こぼれ話61『地球沸騰化』

監修

西武学園医学技術専門学校東京校 校長

中原 英臣 先生(なかはら・ひでおみ)

 

 

 地球が異常ともいえる熱波に襲われています。
 昨年の話ですが、ギリシャでは熱波によって発生した山火事が空軍基地の弾薬庫の近くで爆発を起こして住民が避難しました。スペインやイタリアなどでも熱波による山火事が多発して多くの市民に大きな影響を与えています。
 アメリカでも熱波が続いていて、デスバレーで最高気温が54℃を記録しました。そのため熱波では初となる「危険警報」 が出されました。バイデン大統領は「自然災害でもっとも命を奪っているのは熱波です。毎年600人が死亡しています」と 述べています。
 ヨーロッパでは60%以上の地域が干ばつによる渇水の危機にさらされています。欧州委員会はヨーロッパのほぼすべて河 川で水位が下がるなど、過去500年で最悪の渇水状況が起きていると発表しています。
 アジアも猛烈な熱波が襲っています。北京では昨年6月22日に41・8℃を記録しましたし、ベトナムでも44・1℃と最高気温を更新しました。インドでも熱波が襲っていて、デリーでは40℃を記録しました。
 世界各地で起きている熱波について、イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンやオランダの王立気象研究所の研究 者たちは、ヨーロッパでは19世紀には起こりえなかった熱波が10年に1回のペースで起きていると分析しています。
 この分析を行った研究者たちは「世界が温室効果ガスの排出をすみやかに止めて、実質ゼロを実現しないかぎり、こうした熱波はさらに極端になり頻繁に起きる」と警告して温暖化対策の必要性を強調しています。
 こうしたことを受けて、国連のグテーレス事務総長は「地球温暖化の時代は終わりました。地球沸騰化の時代が到来したの です」という警告を発しました。このようなことを考えると、もはや温暖化対策でなく地球沸騰化対策が待ったなしの状況にあると思われます。

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