Dr.中原の健康こぼれ話64

Dr.中原の健康こぼれ話64

監修

西武学園医学技術専門学校 東京校 校長/医学博士

中原 英臣 先生

風邪は万病のもと

やっと春の日差しを感じる季節になりました。寒かった今年の冬、風邪に悩まされた人も多かったのではないでしょうか。昔からの諺に「風邪は万病のもと」というのがあります。ひと口に風邪といっても、医学的には風邪という病名はありません。医師は患者さんには風邪といいますが、カルテには「感冒」という病名を書きます。こうしたことは、ほかの病気でもみられます。盲腸の正式な病名は「虫垂炎」、はしかは「麻疹」、にきびは「尋常性痤瘡」です。だれでも年に一度ぐらいは風邪をひいて、熱が出たり、咳や鼻水に悩まされることがあるでしょうが、忙しいときだと、風邪にかかっても、すぐに病院に行く時間がないという人が多いようです。これはとても危険なことです。風邪と同じ症状のインフルエンザに効くタミフルなどの抗インフルエンザ薬は、症状が出てから2日以内に飲まないと効果がありません。B型肝炎や結核などの症状も風邪に似ているということを考えると、たかが風邪といって油断してはいけません。風邪の原因は100種を超える様々なウイルスということがわかっています。そうしたウイルスが空気を媒介としたり、他人の咳やクシャミといった飛沫に乗って体内に侵入し、発熱、クシャミ、鼻水、鼻詰まり、咳、全身倦怠、関節痛、筋肉痛といった風邪の症状を引き起こします。ところが、栄養状態も良く、気力も体力も充実しているようなときはウイルスが侵入しても発病することはほとんどありませんが、疲れがたまっていたり、睡眠不足で抵抗力が低下していると、体内に侵入したウイルスに負けてしまう可能性が高くなります。健康な人と比べると、仕事に追われている過労気味の人は、どうしても風邪のウイルスに対する抵抗力が弱いようです。年末や年度末で、仕事に追いかけられる毎日が続く人は、風邪の予防のために規則正しい睡眠と栄養バランスのとれた食事をお勧めします。

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